太陽光発電におけるアレイとは?単位による違いも解説

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太陽光発電の効率を最大限に引き出すためには、「アレイ」の理解と適切な設計が不可欠です。
そこで本記事では、アレイとは何か、また「ストリング」「モジュール」「セル」との違いを明確に解説します。

さらに、アレイの発電量を最大化するポイント、システム変換効率との関係、そして効果的なアレイ設計の重要なポイントについても詳しく説明します。

太陽光発電所の設置を考慮している方は、ぜひ最後までお読みください。

太陽光発電におけるアレイとは?

太陽光発電システムの効率と性能を理解するためには、基本構成要素であるアレイの概念を把握しましょう。
アレイは太陽光発電において最も大きな単位として位置づけられ、複数のモジュールを直列、あるいは並列に結線して設置される構成体です。

太陽光発電システム全体の発電能力は、アレイの設計と構成に大きく依存しています。

ストリング・モジュール・セルとの違い

アレイの設計にはさまざまな要因が関わり、効率的な発電のために3つの要素を適切に組み合わせる必要があります。
ここからは、アレイを構成する単位、ストリング、モジュール、セルとの具体的な違いについて詳しく解説していきます。

ストリング

ストリングは、太陽光パネル内でモジュールを直列に結びつけた単位です。
複数のモジュールを直列に接続することにより、太陽光発電システムの電圧を高め、より大きな電力を得ることが可能になります。

ストリングの設計はシステムの全体的な効率に大きな影響を与えるため、特に出力ロスを最小限に抑えるための適切な配列が重要です。

モジュール

モジュールは、複数のセルを組み合わせて一枚のパネルを形成した単位です。
セルが太陽光発電の基本単位であるのに対し、モジュールはこれらのセルを実際に屋外で使用できるよう、強化ガラスや樹脂、アルミニウム枠で固定し保護した状態です。

市場で「太陽光パネル」や「ソーラーパネル」として販売されるのは通常、このモジュールです。
モジュールの設計は、設置する土地や屋根の条件により、サイズや形が異なります。

セル

セルは太陽電池を構成する最も基本的な単位で、一般的に約10センチ四方のサイズとなります。
セルは単体で僅か0.5W程度の出力しかありませんが、複数を組み合わせることで必要な電力を供給することが可能に。

セルは太陽光を直接吸収し、電力を生成する基本的な要素となります。
効率的な電力生成のために、結晶系シリコン板ウエハーや、PN接合技術を用いて製造されます。
電圧は一般的に0.5Vから0.6Vの範囲であり、電流はセルの面積に応じて変化。

基本的な構成単位を組み合わせることで、モジュールやアレイといったより大きな単位を形成し、太陽光発電システム全体の電力供給能力を高めるのです。

アレイが発揮できる発電量は?

太陽光発電システムの心臓部とも言えるアレイは、構成するモジュールの数と性能によって発電量が決定されます。
具体的な計算方法は、一つのモジュールの定格出力に設置される、モジュールの枚数を乗じることで求められます。
例えば、180Wの出力を持つモジュールが20枚ある場合、アレイの総出力は180W × 20枚 = 3,600W(3.6kW)に。
このようにアレイの容量が大きいほど、システム全体の発電能力も高くなります

しかしながら、アレイで生成される電力は直流であり、一般家庭で使用される交流に変換する必要があるのです。
また、変換プロセスでは、パワーコンディショナーを介して変換される際に、一部の電力がロスすることに注意が必要です。

したがって、アレイの発電量と、システム全体の発電量は必ずしも一致しないことを理解することが重要です。

アレイの発電量を最大値にするためのポイント

アレイの発電量を最大化するには、いくつかの要素を考慮する必要があります。
まず、アレイの設置方向は太陽光の照射量に直接影響します。
太陽は東から昇り、南を経由して西に沈むため、この動きに合わせてアレイを配置することが望ましいです。
北向きの設置では十分な発電量を得ることは困難です。

加えて、太陽光パネルの入射角も発電量に影響します。
晴れた日の午前11時から午後1時頃が、最も発電量が多くなる時間帯であり、入射角が90°の時に最大の発電効率を得られます。
しかし、入射角は設置する地域の緯度によっても異なるため、その地域に最適な角度で設置することが重要。

このように、アレイの発電量を最大化するためには、設置方向や角度の最適化が必須であり、これによってシステム全体の効率を高めることができます。
また、モジュールの組み合わせ方によっても発電量は変わるため、屋根の形や条件に合わせてアレイを設計することが推奨されます。

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アレイとシステム変換効率の関係

太陽光発電システムの性能を評価する上で重要なのが、システム変換効率とアレイの関連性です。
システム変換効率とは、太陽光発電システムがどれだけ効率的に太陽の光エネルギーを電気エネルギーへと変換できるかを示す指標です。

全アレイからの発電量の合計に、パワーコンディショナーの変換効率を考慮し、アレイ全体の日射量と面積で割ることによって計算されます。

システム変換効率の計算と意義

システム変換効率は、アレイが受け取る太陽の総エネルギー量と、システムが最終的に生成する交流電流のエネルギー量を比較することで算出されます。
例えば、アレイに1000Wの太陽光エネルギーが照射され、パワーコンディショナーから200Wの交流エネルギーが出力される場合、システム変換効率は20%となります。
この数値は、太陽光発電システム全体の発電効率を評価する際に、有用な指標といえるでしょう。

平均アレイ効率との違い

平均アレイ効率は、システム変換効率とは異なり、アレイ単位での変換効率を表します。
アレイが受け取る日射量と、アレイが生成する直流電流のエネルギー量を比較することで算出されます。

アレイごとの効率を把握することにより、システム全体では見逃されがちな個々のアレイの性能の、微細な異常を検出することが可能に。
例えば、特定のアレイの効率が低下している場合でも、システム変換効率についてはわずかな誤差として表れる可能性があるため、平均アレイ効率の監視はシステムの健全性を保つ上で不可欠なのです。

システム発電効率の決定要因

システム変換効率は、アレイの面積や傾斜面の日射量に加え、インバータの変換効率によっても大きく左右されます。
このため、アレイの設計、配置、およびパワーコンディショナーの選択は、システムの全体的な発電効率に深く関連しています。

アレイごとに異なるパネル枚数や設置方位、パワーコンディショナーの容量などがシステム全体の効率に影響を与えるため、これらの要素を適切に管理し、適正化することがシステム効率を高める鍵となります。

アレイ設計で重要となるポイント3つ

太陽光発電システムの効率を最大化するためには、アレイの設計が重要です。
特に、発電量に直接的な影響を与える以下3つの要素を理解しておきましょう。

  • 角度
  • 設置方位
  • ストリング設計

それぞれの要素がどのように発電効率に寄与するのか、詳しく見ていきましょう。

角度

アレイの角度は、太陽光の入射角度に直接関わり、発電量に大きな影響を及ぼします。
角度の設定はアレイと地面との勾配差を意味し、太陽光がモジュール表面にどれだけ効率よく到達するかが決まります。

理想的な角度は、太陽光がモジュール表面に直角に近い状態で入射すること
角度が最適であると、反射による損失を最小限に抑え、太陽光を最大限に活用できます。

日本の緯度では一般的に30°が最適とされていますが、地域によって適切な角度は異なるため、地域の日射量データベースを参考にしましょう。

設置方位

アレイの設置方位は、日中の太陽の動きに対応し、アレイをどの方向に向けるか決定する要素です。
一般的に、太陽が最も高く昇る正午に最大の日射量を得られるよう、アレイは真南向きに設置することが望ましいです。
真南向きに設置することで、朝から夕方にかけて効率良く日射を受けることができます

ただし、土地の状況や周囲の建物の影響などにより、必ずしも真南向きに設置できない場合も。
そのような状況では、できる限り南向きに近づけるようにしましょう。

また、追尾式の太陽光発電システムもありますが、設置費用が高くなるため、費用対効果を考慮する必要があります。

ストリング設計

ストリング設計は、アレイ内のモジュールがどのように接続されているかを定める要素です。
モジュールは直列に配線されたストリング内を通じ、電力をパワーコンディショナーに送ります。
ストリング設計を行うことによって発電量が増加することはありませんが、不適切な設計では発電量が減少するリスクがあります。
特に、ストリング内のモジュール数に差がある場合や、影による影響が考えられていない場合、全体の発電効率が低下する可能性が。

したがって、ストリング設計は影響を受けやすい環境要因を考慮し、最適な配線計画を立てることが重要です。
これにより、一部のモジュールに影がかかった場合でも、他のストリングの発電効率を維持し、システム全体の発電量の低下を最小限に抑えることができます。

単位と設計の理解が重要

いかがでしたでしょうか?

本記事では、太陽光発電におけるアレイの重要性と、構成要素であるストリング、モジュール、セルの違いについて詳しく解説しました。
アレイの発電量を最大化するための重要なポイント、システム変換効率との関連性、そして効果的なアレイ設計のためのポイント(角度、設置方位、ストリング設計)についても触れました。

これらの情報を活用することで、より効率的でコスト効果の高い太陽光発電システムの設計が可能となります。

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