産業用太陽光発電設備に蓄電池を組み合わせるメリット・デメリット

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産業用太陽光発電を行っている方、検討している方で「蓄電池を導入すべきかどうか悩んでいる」といった方もいるのではないでしょうか。そこで、産業用太陽光発電の蓄電池について詳しく紹介します。

この記事を読むことによって産業用太陽光発電に加えて蓄電池を導入した場合のメリット・デメリットにはどういったものがあるのかなどがわかるので、参考にしてみてください。

産業用太陽光発電の蓄電池とは

産業用の蓄電池は、公共施設のほか、オフィス、ビル、工場などに設置されている産業用太陽光発電の蓄電システムです。産業用太陽光発電の蓄電池は、家庭用の蓄電池といくつか異なる点があります。
実際に導入を決断する前に、産業用太陽光発電の蓄電池がどのようなものなのか確認しておきましょう。おさえておきたいポイントを解説します。

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太陽光で発電した電気を蓄電できる

産業用太陽光発電の蓄電池は、家庭用の蓄電器と同様に発電した電気を蓄電できます。蓄電池に電力を蓄えておけば、停電など、何かあった際に備えられるのが魅力です。

業種によっては、停電が致命的になってしまうケースがあります。例えば、介護や福祉の現場で停電が起こってしまうと大変です。また、通信機器などを使っている一般企業でも停電中は業務が再開できず、滞ってしまうでしょう。そういった場合も蓄電池を用意しておけば備えておいた電力をバックアップ電源として活用できます。

蓄電池から電力供給していれば任意のタイミングで工場や事務所のほか、自宅などで消費することも可能です。これは、小型の蓄電池とは異なり、電力の制御システムが組み込まれていることが関係しています。
必要なところで必要なだけ蓄えていた電気を使うようにすれば、電気料金の削減にもつながるでしょう。月々の電気料金の高さに悩んでいる企業などの場合、大きな助けになってくれるはずです。

産業用太陽光発電の蓄電池の種類

産業用太陽光発電の蓄電池には、大きく分けてNAS電池、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池といった4つの種類があります。

NAS電池は定期的なメンテナンスが必要になりますが、大容量な蓄電池に向いているため、産業用の蓄電池では多く活用されています。コンパクトなのが特徴で、鉛蓄電池の約3分の1程度のサイズしかありません。
そのため、大容量の蓄電池を購入したいと考えていたものの、大きな蓄電池を設置するスペースがなく、困っていたような場合も向いているでしょう。寿命は15年ほどあるので、長期間にわたって大容量の蓄電が可能です。

鉛蓄電池は、電極に鉛を用いているのが特徴的な蓄電池です。安価ではあるのですが、重量があります。また、充放電を何度も繰り返すと、少しずつ性能が低下していきます。
注意しなければならないのが、破損時の危険性です。鉛蓄電池の電解液には硫酸が使われているため、破損したに触れてしまうと火傷の危険性があるほか、爆発・火災などにつながる恐れがあります。寿命は17年ほどです。

リチウムイオン電池は、家庭用の蓄電池でも主流の種類です。ノートパソコンやスマートフォンなどのモバイル機器にも使用されています。寿命は10年ほどと短めです。
小型なので、設置面積があまり取れないような場合にも向いています。繰り返し充電と放電ができる電池であり、劣化しにくい特徴も持っています。

ニッケル水素電池は主に小型の電化製品で使われており、掃除機やライトのほか、ドライブレコーダーなどにも使われている種類の電池です。
過充電や過放電に強いことに加え、安全性が高いといった特徴を持ちます。ただ、5~7年程度で寿命を迎えるため、長期にわたって使うことができません。
そのため、産業用の太陽光発電ではその他の種類の蓄電池が使われることが多いです。

寿命について紹介していますが、その年数を過ぎると突然利用できなくなるようなものではありません。徐々にパフォーマンスが落ちていく形となります。

蓄電池の設置費用

産業用太陽光発電の蓄電池を設置する場合、数百万円単位の初期投資費用がかかることになります。大きな節電効果などは期待できますが、蓄電池の導入費用だけでなく、太陽光発電の導入費用についても考えておかなければなりません。
両方を合わせると数百万円~数千万円単位となります。蓄電池の本体価格がどの程度かによって費用が大きく変わるので、よく確認が必要です。

FIT終了で売電価値が落ちている

FIT制度と呼ばれる再生可能エネルギーの固定価格買取制度によって、余った電力は売却できていました。ですが、2019年11月からFIT買取期間が順次終了しています。

そのため、電力の売却による魅力は小さくなっている状態です。売電収入が落ちることになりますが、そこで注目されているのが自家消費型への切り替えです。そのために蓄電池が必要になります。

法人が自家消費に注目し蓄電池の需要が上がっている

法人の中には、FIT終了の影響を受けて自家消費を検討する方が増えてきました。電気料金は数年前に比べて値上げの傾向が強く、今後もこういった状況が続いていく可能性があります。
特に事業でアパートや工場を経営していたり、店舗などで電力を消費していたりする方は、蓄電池を活用して自家消費することによって大きな電気代の節約効果が期待できるでしょう。

産業用太陽光発電に蓄電池を導入するメリット

産業用太陽光発電に蓄電池を導入するメリットはたくさんあります。代表的なメリットは以下の4つです。

売電量が上がり収益も上がる

蓄電池に加えて太陽光パネルの過積載を行うことにより、これまで損失していたような電力もまとめて売電できます。

過積載とは、パワーコンディショナの出力と比較して、太陽光パネル容量のほうが大きい状態にすることです。パワーコンディショナとは、発電した電気を工場や家庭で使う量の電気に変換させるための装置をいいます。
通常、太陽光パネルの最大発電容量に合わせてパワーコンディショナの容量が決まることになります。ですが、十分な日射量があったとしてもパワーコンディショナの最大容量程度の発電はなかなかできません。

そこで、普段から過積載の状態にすることによって最大容量に近い電力を確保可能です。日射量が少ないタイミングでも発電できる量が増えることから、売電量・収益ともに上がることになります。

出力抑制時の損失軽減

過積載によって多くの電力を生み出せますが、発電量がピークになる時間帯は、パワーコンディショナの出力に合わせる形で発電量が削減される「ピークカット」が発生します。ピークカットによるロスのことを考えても売電収入が増えるため、大きなデメリットにはなりません。

ですが、蓄電池があれば発生するロスを抑えることが可能です。太陽光発電の過積載と組み合わせて蓄電池を導入することにより、本来であればピークカットによってロスされてしまうはずだった電力を蓄電池に蓄電しておくことができます
日が落ちて夕方になると少しずつ発電量が落ち着いてきますが、この段階になってから蓄電しておいた電力を放電・逆潮流させて売電が可能です。もちろん、自家消費として活用することもできます。
これから産業用太陽光発電を導入して、過積載をしようと考えているのであれば、蓄電池も取り入れてみると良いでしょう。

既存の太陽光発電設備へ設置できる

蓄電池は、既存の太陽光発電設備に対して設置が可能です。これは、蓄電池のメーカーは太陽光発電設備との互換性に関する試験も行っており、機能性や安全性が確認されているからです。

蓄電池以外の装置の中にはこういった試験が行われておらず、新たに追加しようと考えた際によく考えなければならないものもあります。
例えば、既存の太陽光発電設備に新たな機器を追加する場合、それぞれの設備で保証の対象外となってしまうこともあるのです。
太陽光発電は何十年にもわたって運用していくことになるので、設備の追加によって保証対象外となってしまうのはできるだけ避けなければなりません。蓄電池であればそういった心配がほとんどないのはメリットだといえるでしょう。

そのため、新しく蓄電池を導入するからといって基本的に太陽光発電設備から買い直す必要はありません。すでに太陽光発電設備を導入しているのであれば、蓄電池の購入・設置に関する費用だけを考えれば良いのもメリットです。

ただし、すべての蓄電池メーカーがどの太陽光発電設備に対しても相互接続試験を行っているとは言い切れません。中には互換性がないケースも考えられるため、問題がないと自己判断するのではなく、事前に問い合わせておいたほうが良いでしょう。

自家消費型の場合は電力供給が期待できる

ただ太陽光発電設備を導入するよりも、蓄電池も加えて導入したほうが自家消費する際に安定した形での電力供給につながります。発電した電力を工場やオフィスなどで使用する場合、十分な発電ができている日中であれば良いのですが、夜間などは発電ができません。電力を購入して使う形となります。
ですが、蓄電池に電力を蓄えておけば、発電ができない時間帯でも自家消費が可能です。効率よく自家消費できれば、大幅に電気代を削減することも不可能ではありません。

また、オフィスによっては、日によって電力需要が異なるケースもあるでしょう。このような場合でもあまり電力需要がない日は蓄電池を使って電力を蓄積しておき、需要が増えた日に放電する使い方もできます。

多くの電力を太陽光発電で賄えるようになれば、電力契約における基本料金を抑えることも可能です。

法人契約の場合、電気代の基本料金は「デマンド」と呼ばれる最大需要電力によって定められます。24時間は30分が48コマ分あり、1ヶ月だと30日なので1,440コマ分です。
この1,440コマ分のうち、最も平均使用量が高いコマが月次のデマンド値となる形です。

そのため、法人が電気の基本料金を抑えようと考えた場合、電力の使用を控え、デマンド値が高くなりすぎないようにしなければなりません。ただ、単純に電気の使用を控えるだけでは業務に支障をきたしてしまう恐れもあります。
ですが、蓄電池をうまく活用して自家消費を増やすことができれば、それだけでデマンド値を抑える効果が期待できるでしょう。

産業用太陽光発電に蓄電池を導入するデメリット

産業用太陽光発電に蓄電池を導入するにあたり、おさえておかなければならないデメリットが存在します。
代表的なデメリットは設置費用や設置場所、老朽化に関することです。それぞれ解説します。

蓄電池の設置費用がかかる

産業用の太陽光発電で利用できる蓄電池を導入することになれば、安くても50万円以上の費用がかかることになります。容量が多い蓄電池を選択しようと考えた場合、100万円以上の費用がかかると考えておきましょう。
また、蓄電池だけではなく、設置工事と電気工事の費用として30万円前後かかってしまいます。まとまった導入費用が準備できる方でなければ、なかなか検討できません。
もちろん、太陽光発電装置がまだの場合、こちらの導入も行う必要があります。

蓄電池を設置する場所が一定必要

費用の問題をクリアできたとしても、場所の問題に悩まされてしまう可能性があります。
蓄電池は電池であるため、高温多湿の場所には設置できません。じめじめした場所に設置してしまうと思わぬトラブルのリスクもあります。
ですが、直射日光が当たる場所に置くのも適していません。風通しが良く、直射日光の恐れがない場所を選択しましょう。
寒すぎる場所だと性能を十分に発揮できないため、設置場所の温度にも注意が必要です。

屋外に置く場合、塩害の心配がある地域では、塩害対策を取っておかなければなりません。メーカーによっては、塩害地域での設置を推奨していなかったり、保証の対象外となったりすることもあるので注意しましょう。

重量があることから地盤が軟らかいところに置けないほか、可燃物が近くにあるところなどは設置に適していません。

産業用太陽光発電の蓄電池自体非常に大きなものなので、どのサイズのものを購入するのか、置き場所があるのかについては事前によく確認しておきましょう。

年数を追うごとに老朽化する

蓄電池は年数を追うごとに老朽化していきます。徐々に蓄電容量が少なくなっていくため、長年使い続けた蓄電池については買い換えを検討しなければなりません。
蓄電容量が極端に少なくなったままで使い続けた場合、本当に必要になった時に有効活用できない恐れもあります。

蓄電池に補助金制度はあるのか

蓄電池を導入するメリットはいろいろありますが、コストがかかるデメリットがあります。そこで、購入にかかるコストを抑えるためにも活用できる補助金制度について確認してみましょう。

国が用意している補助金のほか、各種自治体が用意している補助金があります。注意点として、家庭用の蓄電池導入にあたり交付される補助金ではなく、産業用の蓄電池導入で利用できる補助金を探しましょう。

例えば、環境省が行っている「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」があります。こちらは、積極的に脱炭素化の取り組みを行う地方公共団体を対象とした補助金制度です。
実施期間は、令和4年度~令和12年度と、長期に渡ります。交付率は原則2/3です。

また、環境省では「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」でも補助金を交付しています。補助の対象となるのは、業務用施設・産業用施設・集合住宅・戸建住宅への自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池(車載型蓄電池を含む)です。
実施期間は令和3年度~令和6年度となります。業務用施設・産業用施設・集合住宅への導入の場合、PPA・リースでは5万円/kW、購入では4万円/kWが補助されるものです。

この他にも利用できる国の補助金があるため、活用してみましょう。

地方自治体が用意している産業用蓄電池導入で利用できる補助金の例についても紹介します。
東京都が行っている「地産地消型再エネ増強プロジェクト(蓄電池単独設置)」では、令和4年6月21日から令和5年3月31日まで補助金の申請を受け付けています。
民間企業のほか、個人事業主、その他が対象です。中小企業等については助成上限額を450万円とした助成対象経費の4分の3以内、その他については助成上限額を300万円とした助成対象経費の2分の1以内が助成されます。

各種補助金の詳細については、直接募集ページをご確認ください。なお、補助金は申請すれば必ず交付されるものではありません。さらに、予算に達した場合はその時点で募集が中断・終了されるため、利用したい補助金がある場合は早めに申請の検討が必要です。

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いかがだったでしょうか。産業用太陽光発電とセットで検討したい蓄電池について紹介しました。蓄電池を導入することによって得られるメリットやデメリットなどについてご理解いただけたかと思います。
太陽光発電だけでも電気を生み出すことはできますが、蓄電池がないと夜間や電力をたくさん使用したいタイミングで自家消費などができません。他にも、産業用太陽光発電設備に蓄電池を導入することによって売電量と収益が上がることや、ピークカットによるロスを減らせるなど多くのメリットがあります。

電気の基本料金を抑えられる可能性もあるため、導入について検討してみてはいかがでしょうか。

蓄電池を導入する際には、ぜひKUIYAまでご相談ください。蓄電池のみの導入や、太陽光発電設備も含めた導入についてご提案しています。

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