太陽光発電所の架台を設置するときは傾斜角度に注意が必要です。なんとなく設定すると、効率よく発電できない恐れがあります。また、メンテナンスも行いにくくなるでしょう。ここでは、架台の傾斜角度と高さを決定するときに注意したいポイントを解説しています。さらに、架台に用いられる主な素材とそれぞれのメリット・デメリットなども紹介しています。太陽光発電所の架台について理解を深めたい方は参考にしてください。
目次
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太陽光発電所の架台とは?
架台は、何かしらの設備などを設置する架構です。架構は材料を組み立てて作った構造物を指します。太陽光発電所の場合、パネルを固定するために用いる架構を架台といいます。この場合、基礎の上に支柱とレールなどを組み立てた構成になります。基礎・架台に用いられる素材には、いくつかの種類がある点に注意が必要です。基礎・素材の種類は、次の章で解説しています。
架台の主な役割は、パネルを固定するとともに太陽光を効率よく受けられるようにすることです。パネルを架台に設置することで、高さと角度を出せるため太陽光を受けやすくなります。また、角度や高さにこだわることで、パネルに落ちた異物を滑り落とすことなども可能になるでしょう。単なる台以上の役割を果たすため、角度などに気を付けて設置することが重要です。
太陽光発電所の架台を支える基礎の種類
架台の基礎は次の2つに分かれます。
【基礎の種類】
- コンクリート基礎
- 杭基礎
それぞれの特徴は次の通りです。
コンクリート基礎
コンクリート基礎には次の3種類があります。
【コンクリート基礎】
- 置き基礎
- 布基礎
- ベタ基礎
置き基礎は、地面に埋めたブロックで固定する基礎です。基礎の重さと摩擦力で固定することになります。特徴は、コストを抑えやすいことです。ただし、単純な構造であるため、慎重に計算してから設置する必要があります。布基礎は、地面に埋めた一列の長いブロックで固定する基礎です。コストはやや割高になりますが、強度・安定性とも優れます。ベタ基礎は、地面に架台とほぼ同じ面積のブロックを埋めて固定する基礎です。3つの方法の中で最も割高ですが、強度・安定性も高くなります。以上をまとめると、コスト・強度・安定性は、置き基礎・布基礎・ベタ基礎の順で高くなるといえるでしょう。
杭基礎
杭基礎は次の3種類に分かれます。
【杭基礎】
- C型杭基礎
- 単管杭基礎
- スクリュー杭基礎
C型杭基礎は、断面がC型の杭を地面にさして固定する基礎です。構造が単純なため、施工しやすくコストを抑えやすい点が魅力です。他の方法よりもコストを抑えやすいといえるでしょう。ただし、地面に差し込む方式のため、縦方向の力に弱い恐れがあります。単管杭基礎は、パイプを地面にさして固定する基礎です。この方式も、コストを抑えやすい点が魅力です。ただし、十分な引張強度を確保しにくいため採用する発電所は減っています。スクリュー杭基礎は、大きなねじのような杭を地面にさして固定する基礎です。アタッチメントを取り付けたバックホウで施工することになりますが、それほど手間をかけず引張強度を確保できるため野立ての太陽光発電所で主流となっています。コストと強度のバランスの良さが魅力です。
関連記事:スクリュー杭基礎とは?コンクリート基礎との違いも解説
太陽光発電所の架台の素材
架台に用いられている主な素材は次の通りです。
【架台の素材】
- スチール
- アルミニウム
- ステンレス
それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
スチール製のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
強度が高い、材料費を抑えやすい、 | 重いため現場作業に手間がかかる、工期も長くなる傾向がある、撤去時に処分費用がかかる |
高い強度を誇る素材です。大きな荷重がかかる架台などでも使用しやすいといえるでしょう。アルミニウム・ステンレスと比べて、材料費を抑えやすい点も魅力です。ただし、スチール製の架台は重いため、現場の作業に手間がかかります。したがって、材料費は安くてもトータルで考えるとコストを大きく抑えられないことが少なくありません。また、工期も長くなる傾向があります。撤去時に処分費用がかかる点にも注意が必要です。リサイクルできないため、基本的に追加で費用がかかります。他の素材より錆びやすいことも押さえておかなければなりませんが、この点は亜鉛メッキ加工などで対処できます(メッキ処理をしていない加工部分は錆びやすいことがあります)。したがって、明確なデメリットとはいえません。
アルミニウム製のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
施工しやすい、施工費を抑えやすい、工期が短くなる、錆びにくい、撤去費用も抑えやすい | それほど強度は高くない |
スチール・ステンレスと比べると軽いため、施工しやすい点が特徴です。他の素材よりも施工費を抑えやすい傾向があります。同様の理由で、工期も短くなることが多いでしょう。素材の特性と表面加工により、錆びにくい点も見逃せません。また、リサイクルの対象となるため、撤去費用も抑えやすい傾向があります。ただし、素材そのものの強度はそれほど高くありません。大きな荷重がかかると、破損する恐れがあります。したがって、成型で強度を高めるなどの対処が基本的に必要になります。また、材料費はスチールよりも割高になることが多いでしょう。とはいえ、施工費を抑えられるため、トータルで考えると大きな金額差にならないことも少なくありません。
ステンレス製のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
高い強度を誇る、錆にくい、 | 素材費・施工費とも高くなる傾向、撤去時に処分費用がかかる、現場で加工しにくい |
高い強度を誇る素材です。大きな負荷がかかっても損傷しにくい点が魅力といえるでしょう。また、錆にくい素材でもあります。したがって、海辺など、塩の影響を受けやすい地域に向いています。非常に優れた素材ですが、素材費・施工費とも高くなりがちです。また、リサイクルの対象とならないため、撤去時に追加で処分費用がかかります。3種類の素材の中で、コストは最も割高といえるでしょう。以上のほかでは、現場で加工しにくい点にも注意が必要です。水が溜まらないように長穴を開ける場合は事前に加工が必要です。
太陽光発電所の特殊な架台
架台の中には特殊な機能を備えているものがあります。代表的なものとして次の2つがあげられます。
営農型パネル架台
畑をはじめとする農地に設置することを想定して開発された架台です。農作物の飼育に必要な日射量を確保しつつ、太陽光発電も行える点が特徴といえるでしょう。具体的には、パネルの下で農作業をできるように設計されています。したがって、レールの高さは2m以上になることが少なくありません。この状態で一定の強度を確保するため、一般的な架台よりも基礎となる杭を深く打ち込む必要があります。
営農型パネル架台を用いることで、同じ土地で農業と太陽光発電を並行して行えますが、日陰になる部分が生じるため農作物の生育に一定の影響を与える恐れがあると考えられています。営農型パネル架台は、遮光率などを計算したうえで設置することが重要です。また、強い日差しを必要としない農作物を育てるなどの対処も有効とされています。
追尾式架台
太陽光を追いかける機能を備えた架台です。つまり、日の出から日の入りまで、太陽を追いかけるように動きます。一般的な架台は、太陽を追いかけないため、発電量のピークは11~13時ごろになります。追尾式架台は、太陽を追いかけるため1日を通して発電量を高く維持しやすい傾向があります。具体的な発電量はケースで異なりますが、一般的な架台と比べて1.2~1.5倍程度になると考えられています。追尾式架台は、東から西への動きを追尾する一軸追尾式、東西南北を追尾する二軸追尾式などに分かれます。同じ条件であれば、前者よりも後者のほうが発電量は多くなるでしょう。太陽を追いかけられる理由は、GPSや光センサーの情報をもとに架台が動くからです。動作の仕組みはさまざまですが、ワイヤーとモーターで駆動するものなどがあります。
太陽光発電所の架台設置工事費用の相場
架台を設置するにあたり、必ず確認しておきたいのが工事費用の相場です。工事費用の相場は、経済産業省が発表している「令和4年度以降の調達価格などに関する意見書」を参考にできます。同資料によると、事業用太陽光発電における工事費用は上昇傾向にあります。具体的には、2013年から2021年の間に7%上昇しています。一方で、架台の資本費は、2013年から2019年まで減少を続け、2020年から上昇となっています。事業用太陽光発電(10kW以上全体)における架台の資本費(1kWあたり)は、2013年が3.8万円、2019年が2.8万円、2021年が3.6万円です。[1]直近のデータを用いると、太陽光発電所を開設した場合にかかる費用は30kWで108万円、40kWで144万円、50kWで180万円となります。ただし、以上はあくまでも相場です。実際の金額は条件により異なります。
参照元:経済産業省 調達価格等算定委員会「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」
太陽光発電所の架台の傾斜角度を決めるポイント
架台を設置するうえで重要になるのが傾斜角度です。傾斜角度を誤ると、効率よく発電できない恐れがあります。ここでは、傾斜角度を決めるときに注意したいポイントを解説します。
太陽光発電用の土地を有効活用できる角度
一般的に、電気を効率よく生み出す架台の傾斜角度は30度と考えられています。ただし、実際の理想的な角度は地域で異なります。地域によっては、35度以上の角度にしたほうがよいことや25度以下の角度にしたほうがよいこともあります。また、土地の条件にも十分な注意が必要です。理想的とされる角度にすることで、前方のパネルの影が後方のパネルにかかって電気を効率よく生み出せないことも考えられます。さまざまな条件を踏まえたうえで、土地を有効活用できる角度を設定することが重要です。基本的な考え方としては、影が重ならずパネルを多く設置できる角度を見つけることになります。太陽光発電所の発電量は、パネルの数と比例する傾向があるからです。
太陽光パネルの異物を落下させる角度
傾斜角度は、パネルに落下する異物の存在も考慮して決定しなければなりません。代表的な異物として、落ち葉をはじめとするゴミがあげられるでしょう。また、雪が降る地域では積雪も注意したい異物に含まれます。パネルの上に落下した異物がそのままの状態でとどまると、発電量に悪い影響を与えてしまいます。積雪などで大きな荷重がかかると、パネルなどが破損することも考えられるでしょう。したがって、パネルの上に異物が積もらない傾斜にしておくことも重要です。例えば、積雪量が多い地域で、傾斜角度を30度以上にしておくなどが考えられます。
太陽光パネルが風の影響を受けない角度
何かしらの理由でパネルの傾斜角度を大きくしたい場合は風の影響に注意が必要です。傾斜角度を大きくすると風の力を受けやすくなります。工事を適切に行っていれば、これによりパネルが吹き飛ぶなどの心配は基本的にありません。それでも、パネルを支える架台には大きな力がかかってしまいます。したがって、傾斜角度を大きくしたいときは、使用する素材に気を配る必要があります。ケースによっては、補強などを検討するほうがよいこともあるでしょう。ただし、これらにこだわると、架台の設置にかかる費用は割高になります。メリット・デメリットを踏まえて検討することが重要です。
太陽光発電所の架台の高さを決めるポイント
架台の高さもよく考えてから決定したいポイントです。高さを決定するうえで考慮したい主な切り口は次の3点です。
除草作業をしやすい高さ
架台の高さが低すぎると、雑草が少し伸びただけでパネルに影が落ちてしまいます。このような太陽光発電所は、発電量を維持するため高頻度での除草作業が求められます。手間を減らしたい場合は、除草作業を行うタイミングにあわせて高さを設定するとよいでしょう。例えば、毎年5月に除草作業を行うのであれば、1年間で雑草が成長すると予想される高さよりも架台を高くします。予想以上の高さに雑草が成長しなければ、パネルに影はかからないため年1回の除草作業でも発電量を維持できます。具体的な高さは土地の条件などで異なりますが、一般的には最低でも60cm(パネルの下端の高さ)程度は必要と考えられています。以上を目安に高さを検討するとよいでしょう。
パネル点検しやすい高さ
太陽光発電所は、定期的なメンテナンスが欠かせません。パネルに異物が積もっていたりパネルが損傷していたりすると効率よく発電できないからです。基本のメンテナンスといえるのが点検です。点検では目視でパネル表面の異常を確認します。したがって、架台が高すぎると、パネルの上端までくまなくチェックできません。見落としの原因になってしまうため注意が必要です。点検と同じく重要な作業といえるのがパネルの清掃です。架台が高すぎると、清掃作業も難しくなります。必要以上の手間がかからず、むらなく清掃できる高さに設定するべきといえるでしょう。点検・清掃で問題になりがちなのはパネル上端の高さです。この点に気を付けて高さを設定することをおすすめします。
積雪の影響を受けない高さ
積雪量が多い地域は、パネルが雪に埋まってしまうことがあります。特に、パネルに積もった雪が滑り落ちるため、パネルの下端は雪に埋もれやすいといえるでしょう。当然ながら、雪に埋もれた部分は太陽光を受けられません。発電量に影響するため注意が必要です。一定量以上の雪が降る地域は、積雪量にあわせて架台の高さを設定する必要があります。推奨される高さは、積雪量により異なります。地域における積雪量の平均などを参考にするとよいでしょう。
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太陽光発電所の架台は傾斜角度に注意
太陽光発電所に設置する架台の傾斜角度や高さなどについて解説しました。これらをよく考えずに決めてしまうと、パネルに落葉や雪が積もってしまうことや雑草に覆われて影ができてしまうこと、メンテナンスが難しくなることなどがあります。発電量に影響する恐れがあるため、設置するエリアや土地の特徴に合わせて決定することが重要です。
経済産業省の発表によると、架台の設置費用は1kWあたり3.6万円となっています。具体的な金額は材料費などで変動します。架台を低価格で仕入れたい方は、KUIYAまでご相談ください。安定した品質の製品を低価格でお届けすることが可能です。
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