太陽光発電所の運営を検討されている方のなかには「発電所にはフェンスを設置しなければならないのか」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、太陽光発電所にフェンスの設置が必要であるかどうかという疑問に対する答えとあわせて、フェンスを設置する際に押さえておきたいポイントなどを紹介します。
太陽光発電所を安全に運営したいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
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太陽光発電所にフェンスの設置は必要なのか
結論から申し上げますと、発電所の規模や発電量にかかわらず、基本的に太陽光発電所にはフェンスを設置しなければなりません。
資源エネルギー庁(経済産業省)の「太陽光発電事業計画策定ガイドライン」には、以下のように記載されています。
再エネ特措法において、この事業に関係ない者が発電設備にみだりに近づくことがないよう、適切な措置を講ずることが認定基準となっている。これらの危険を防止するためには、発電設備の周囲に柵や塀などを設置し、容易に第三者が発電設備に近づくことがないよう適切な措置を講ずることが必要である。
引用元:資源エネルギー庁「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)
もし、太陽光発電所を運営しているにもかかわらずフェンスを設置していない場合は、資源エネルギー庁から運営者に対して指導や改善命令が行われることがあります。
関連記事:スクリュー杭基礎とは?コンクリート基礎との違いも解説
太陽光発電所にフェンスの設置が義務化された背景
2017年以前においては、太陽光発電所の発電量が50kw未満である場合には、フェンスの設置は義務ではなく任意とされていました。
しかし、フェンスを設置しないことにより、盗難を目的として人が侵入することや、害獣が侵入することがあり、太陽光発電所が被害を受けることが問題として挙げられていました。
このような背景から、太陽光発電所の安全性および発電の安定性を高めることが重要視され、2017年に施工された「改正FIT法」によってフェンスの設置が義務化されたのです。
こちらの記事では、太陽光発電を設置する際に欠かせない架台に関する解説をしております。
太陽光発電を始めようとお考えの方は合わせてご覧ください。
太陽光発電所にフェンスを設置しなくてもよいケースとは
上記で紹介したように、安全性や防犯面の観点から、太陽光発電所にはフェンスを設置することが義務付けられています。
ただし、以下のケースに該当する場合は、例外的にフェンスを設置しなくてもよいとされています。
ケース①第三者が近づけない土地に太陽光発電所がある
関係者以外が侵入することが難しい土地に太陽光発電所がある場合は、必ずしもフェンスを設置しなくてもよいとされています。
たとえば、水路に囲まれている土地や崖に面している土地などは「第三者が近づくことが難しい」と見なされるため、フェンスを設置する必要がありません。
ただし、土地の定義は明確化されておらず、資源エネルギー庁の「太陽光発電事業計画策定ガイドライン」には、以下のように記載されています。
第三者が発電設備に近づくことが容易でない場合(塀つきの庭に設置する場合、私有地の中に発電設備が設置され、その設置場所が公道から相当程度離れた距離にある場合等)には、柵塀等の設置を省略することができることとする。
引用元:資源エネルギー庁「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)
もし、フェンスを設置しなければならない土地であるにもかかわらず、フェンスの設置を怠った場合は、資源エネルギー庁から指導や改善命令が行われるため注意が必要です。
太陽光発電所を運営している土地がフェンスを設置しなくてもよい土地であるかどうかは個人で判断せず、資源エネルギー庁に問い合わせて確認しましょう。
ケース②農地に太陽光発電設備を設置している
農地に太陽光発電設備を設置する「営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)」を行う場合も、フェンスを設置しなくてもよいとされています。
なぜなら、フェンスを設置することにより、トラクターや草刈り機といった農業機械が出入りできなくなり、農作業に影響をおよぼす可能性があるためです。
ただし、資源エネルギー庁から「農作業や農業機械の出入りに大きな影響はない」と判断された場合は、フェンスを設置する可能性もあるため注意しましょう。
太陽光発電所にフェンスを設置するメリット
太陽光発電所にフェンスを設置することで得られる主なメリットは、以下のとおりです。
メリット①盗難やイタズラを防止できる
太陽光パネルやケーブルなどの部品は非常に高価であるため、盗難の被害にあうことがあります。
盗難の被害にあった機器の数が少なければ軽度の損害で済みますが、時間をかけて複数の部品を運び出された場合は、大きな損失につながることも考えられます。
また、悪意のあるイタズラによって、機器が壊されることも少なくありません。
機器が盗難にあうリスクや破損するリスクを減らすためにも、フェンスの設置は必要不可欠であるといえるでしょう。
メリット②野生動物の侵入を防止できる
自然が豊かな土地で太陽光発電所を運営している場合は、イノシシやシカなどの野生動物の対策も必須といえるでしょう。
これらの野生動物は、太陽光パネルを破壊したり、ケーブルをかじって漏電させたりすることがあるため注意しなければなりません。
野生動物が侵入するリスクを減らすためには、強度が高いフェンスを設置するといった方法や、電気柵を設置するといった方法などが効果的です。
太陽光発電所にフェンスを設置する際に守らなければならない基準
「フェンスの設置にはお金がかかるから、ロープのフェンスを張っておけばよいだろう」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、太陽光発電所の安全性や防犯面の観点から、ロープのフェンスは認められておらず、鉄製やアルミ製といった耐久性が高いフェンスを設置する必要があります。
そのうえで、以下の基準を守らなければなりません。
基準①出入口を施錠する
安全性や防犯面の観点から、太陽光発電所に設置するフェンスの出入り口には鍵を取り付けなければなりません。
鍵のタイプまでは指定されていませんが、安価な南京錠やダイヤル式鍵などは簡単に壊される可能性があるため、なるべく避けることをおすすめします。
基準②立ち入り禁止看板を設置する
関係者以外の侵入を防止することを目的として、太陽光発電所には、立ち入り禁止看板を設置することも義務付けられています。
太陽光発電所が低圧(20~50kW)に該当する場合は立ち入り禁止看板のみを、高圧(50kW以上)に該当する場合は立ち入り禁止看板とあわせて高電圧危険看板を設置します。
また、看板は太陽光発電所の出入り口、あるいはその付近など、外部から見えやすい位置に設置しなければなりません。
基準③一定の高さを確保する
外部の人の侵入を防止することを目的として、フェンスは一定の高さを確保しなければなりません。
具体的な高さまでは指定されていないものの、簡単に超えられるフェンスでは防犯面で心もとないため、最低でも120㎝ほどの高さを確保しましょう。
もし、高いフェンスを設置することが難しいという場合は、フェンスの上部に有刺鉄線をつけると、防犯性の向上に効果が期待できます。
基準④簡単に取り除けないように工夫する
フェンスは、簡単に取り除けず、なおかつ壊れにくいものを設置する必要があります。
したがって、ロープを張っただけのフェンスや、基礎工事がしっかりと行われていないフェンスは設置が認められていません。
フェンスを設置する際は、耐久性が高い金属やアルミなどが素材に使われているものを選んだうえで、工事の技術が高い業者に依頼しましょう。
基準⑤フェンスと太陽光発電設備のあいだには一定の距離をおく
フェンスは、侵入者が太陽光発電設備に触れない位置に設置しなければなりません。
なぜなら、侵入者が設備に触った際に設備を破損する可能性があるだけではなく、万が一設備が漏電を起こしている場合は、感電させてしまう危険性も考えられるためです。
設備とフェンスのあいだの具体的な距離までは指定されていませんが、安全性の観点から、最低でも1.5mほどの距離を確保することをおすすめします。
太陽光発電所に設置するフェンスを選ぶ際に押さえておきたいポイント
太陽光発電所に設置するフェンスを選ぶ際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
ポイント①さびに強いフェンスを選ぶ
フェンスはつねに外気にさらされているため、雨が多いエリアに太陽光発電所がある場合や、フェンスを長期間設置している場合などは、さびることがあります。
フェンスがさびると、耐久性が低下するだけではなく、発電所の美観も損ねてしまいます。
そのため、フェンスを選ぶ際は、なるべくステンレスやアルミといった、さびに強い素材が使われているものを選びましょう。
ポイント②外部から太陽光発電所の状態が確認できるフェンスを選ぶ
防犯性や秘匿性を高めるために「目隠しタイプ」のフェンスを設置したいとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、この方法はおすすめしません。
なぜなら、このタイプのフェンスは外側から発電所の状態が確認できないため、設備に異常が発生していた場合に確認が遅れる可能性があるからです。
安全性を低下させないためにも、フェンスの外側から設備の状態が確認できる「メッシュ(網目)タイプ」を選ぶことをおすすめします。
ポイント③フェンスの施工方法にこだわる
フェンスを設置する際には、必ず支柱を立てなければなりません。
支柱を立てる方法は、基礎ブロックを埋め込んでコンクリートを流し込む「コンクリート基礎タイプ」と、地面に直接支柱を埋め込む「埋め込みタイプ」の2種類が存在します。
コンクリート基礎タイプは、フェンスの足元が美しく、なおかつ耐久性が高いという点がメリットであるものの、工期が長く、費用も高い傾向にあるという点には注意が必要です。
一方で、埋め込みタイプは、工事にかかる費用が低く、なおかつ工期も短い傾向にあります。
ただし、地盤の状態によっては工事ができないことも考えられます。
また、たとえ工事ができた場合であっても、大雨や地震などの影響によって、地盤の状態に異常が生じた場合は、フェンスが倒壊する危険性もあるという点は覚えておきましょう。
参考記事:太陽光発電所のフェンスを設置する場合の費用の相場は?
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太陽光発電所に設置するフェンスは高さや強度などにこだわりましょう
いかがでしたでしょうか。
太陽光発電所にフェンスを設置することは、盗難やイタズラを防止できることはもちろんですが、野生動物の侵入による設備の破損などを防ぐ効果も期待できます。
また、フェンスを設置する際は、外部から容易に侵入できないように一定の高さを確保したり、耐久性が高い素材が使われたものを選んだりすることが大切です。
ほかにも、フェンスにはさまざまな基準が設けられているため、設置工事は個人で対応せず、専門知識を有した施工業者に依頼することをおすすめします。
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